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別居何年で離婚できる?裁判例22件でわかった「3年・5年」の目安【弁護士解説】

記事作成日:2026年10月4日

まず結論:「3年未満は難しい、5年以上ならほぼ認められる」が目安

不貞(浮気)や暴力といったはっきりした理由がなくても、夫婦関係が完全に壊れていて元に戻る見込みがなければ、裁判で離婚が認められます(民法770条1項5号「婚姻を継続し難い重大な事由」)。「壊れているかどうか」を判断する最も大きな手がかりが、別居の長さです。

調べた22件を別居期間で分けると、次のような傾向が見えました。

別居3年未満
8件中3件のみ
別居だけでは「壊れた」と認められにくい
別居3〜5年
結論が分かれる
同じ夫婦でも時間がたつと結論が変わった例も
別居5年以上
全件「壊れている」
認められなかったのは、請求した側に責任がある場合だけ
図1 別居期間ごとの結論22件
3年未満8件
35
38%離婚が認められた割合
3〜5年未満5件
23
40%離婚が認められた割合
5〜10年未満6件
42
67%離婚が認められた割合
10年以上3件
21
67%離婚が認められた割合
離婚を認めた認めず(夫婦関係はまだ壊れていない)認めず(壊れてはいるが、請求した側に責任)

ただし、「別居○年で自動的に離婚できる」という決まりはありません。裁判所は、別居の長さに加えて、結婚していた期間との比較、幼いお子さんがいるか、やり直すための努力をしたか、相手がやり直しを望んでいるか、別居に至った経緯などを合わせて判断しています。この傾向は、20年前の判決でも最近の判決でも変わっていません。

どんな調査をしたのか

判例データベース「判例秘書」で、2006年10月から2026年10月までの20年間に言い渡された離婚裁判の判決のうち、別居期間の長さが主な争点になったものを集めました。離婚を認めた判決(11件)と認めなかった判決(11件)の両方を含みます。

集計から外した判決
不貞が離婚の原因と認定された事案、暴力が主な原因とされた事案、夫婦の双方が離婚を望んでいて別居の長さが争われなかった事案は、「別居の長さがどう評価されたか」が読み取れないため外しています。

※判例データベースに載っている離婚裁判の判決は多くなく、22件は全国の傾向をそのまま表すものではありません。「だいたいの目安」としてご覧ください。別居の年数は、判決が認定した期間(裁判の最終段階の時点)からのおおよその値です。

22件を並べてみると

22件を、別居の長さの順に並べたのが図2です。別居期間がほぼ同じでも結論が分かれていること、そして5年を超えると「認めず(まだ壊れていない)」の判決がなくなることがわかります。

図2 22件それぞれの別居期間と結論
3年未満
3〜5年
5〜10年
10年以上
離婚を
認めた
2781113151618192021
認めず
(請求した側
に責任)
12141722
認めず
(まだ壊れて
いない)
13456910
012345678910121416別居期間(年)
離婚を認めた認めず(まだ壊れていない)認めず(請求した側に責任)

丸の中の番号は、記事末尾の一覧表のNo.です。No.1→2、No.10→13、No.12→14は同じ夫婦の一審→控訴審です。スマホでは横にスクロールしてご覧ください。

別居3年未満:別居の長さだけでは認められにくい(8件中、認めたのは3件)

認められなかった5件は、別居1年未満〜約2年の事案です。別居の原因が「性格や価値観の違い」にとどまる、幼いお子さんがいる、相手がやり直しを望んでいる、といった事情があり、裁判所は「この程度の別居期間を重く見るべきではない」「離婚したい気持ちが強くても、回復の見込みがないとまではいえない」と判断しています。

一方、認められた3件には、別居の長さ以外の事情が加わっていました。

  • 結婚生活が5年ほどと短く、別居のきっかけが暴力やシェルターへの避難だった事案(別居2年余、No.7・8)
  • 高齢のご夫婦で、妻の言動によって信頼関係が失われたと判断された事案(別居1年余、No.2。一審では認められず、控訴審で逆転)

別居3〜5年:判断が分かれる「境目」

この範囲は、認められた例と認められなかった例が混在しています。「まだ壊れていない」として認めなかった最長の例は約3年4か月(No.9・10)、認められた例は3年5か月(No.11)と4年10か月(No.13)で、いずれも一審の「認めず」を控訴審が覆したものです。

同じ夫婦で、時間がたつと結論が変わった例
No.10とNo.13は同じご夫婦の裁判です。一審(別居3年余)では「お互いの理解の努力で修復の余地がある」として離婚が認められませんでしたが、控訴審(別居4年10か月)では「別居が長期にわたり修復の見込みがない」として離婚が認められました。別居が続くこと自体が、判断を変える力を持っていることを示しています。

※4年6か月で認められなかったNo.12は、「まだ壊れていない」という理由ではなく、生活費を払わなかった請求者側に責任があるとして退けられたものです(次の項目で説明します)。

別居5年以上:「壊れている」ことは全件で認められた

別居5年以上の9件では、「夫婦関係はまだ壊れていない」と判断された例はひとつもありません。「別居8年超、この点だけを見ても修復の見込みはない」(No.18)のように、別居の長さそのものを主な根拠にして、関係が壊れていると認定されています。

それでも離婚が認められなかった3件(No.14・17・22)は、すべて「壊れてはいるが、壊した責任が離婚を求めた側にある」という理由です。

長く別居していても認められない場合がある——「自分から壊した側」の請求

図3は、別居期間ごとに「夫婦関係は壊れている」と判断された割合と、実際に離婚が認められた割合を並べたものです。5年以上では「壊れている」が100%なのに、離婚が認められたのは3分の2にとどまっています。

図3 「壊れている」と判断されても、離婚が認められるとは限らない
38%
38%
3年未満8件
40%
40%
3〜5年未満5件
100%
67%
5〜10年未満6件
100%
67%
10年以上3件
「夫婦関係は壊れている」と判断された割合離婚が認められた割合

この差を生んでいるのが「有責配偶者」の考え方です。夫婦関係を壊した主な責任がある側(有責配偶者)からの離婚請求は、たとえ関係が壊れていても、原則として認められません。有責配偶者というと「浮気した側」を思い浮かべる方が多いのですが、今回の22件では、浮気がなくても次のような事情で「自分から壊した側」と判断され、離婚が認められませんでした。

No.裁判所・判決日別居期間離婚が認められなかった理由
12・14東京家裁 令和4年4月28日
東京高裁 令和4年11月15日
4年6か月
→5年超
夫(請求した側)が別居後に生活費(婚姻費用)を払わず、いわば「兵糧攻め」にした
17東京高裁 平成30年12月5日7年以上夫(請求した側)が妻子と病気の親を残して一方的に家を出て、話し合いを一切拒んだ
22東京高裁 平成20年5月14日15年以上夫(請求した側)は十分な資産・収入がありながら、妻子が困っているときに援助を拒んだ。離婚すると妻と障害のあるお子さんが苦しい状況に置かれる

つまり、別居が長くても、生活費を払わない、一方的に家族を放置して話し合いを拒む、余裕があるのに援助しないといった行動があると、浮気がなくても「有責配偶者」として離婚請求が退けられることがあります。

ご相談の際に役立つポイント

今回の傾向をもとに、「離婚を求める側」と「離婚に応じたくない側」それぞれで、裁判所が重視する事情を整理しました。ご自身の状況に当てはまるものがあるか、確認してみてください。

離婚を求める側

  • 別居の長さだけでなく、結婚生活の長さと比べて別居が相当に長いことを示す
  • 別居中も生活費(婚姻費用)をきちんと払っている(払わないと「自分から壊した側」と見られるおそれ)
  • 話し合いや調停に誠実に応じてきた経緯を示す
  • 別居に至った経緯(暴力・避難など)や、信頼関係が失われた具体的な事情を説明する
  • 別居3年未満なら、別居以外の事情をどれだけ示せるかがカギ

離婚に応じたくない側

  • 別居がまだ短いこと(特に3年未満)、結婚生活の長さとの比較を強調する
  • 幼いお子さんがいること
  • やり直す意思があり、真摯に話し合う余地があることを示す
  • 相手が一方的に家を出た経緯や、生活費の不払いがあれば、「相手に責任がある」事情として主張する
  • 別居5年以上では「壊れていない」という主張は通りにくく、相手の責任を示せるかが中心になる

この記事をお読みいただくうえでの注意点

  • 集計した22件は、判例データベースに載っている判決の一部です。全国の裁判の傾向をそのまま表すものではなく、「目安」としてご覧ください。
  • 判決文から読み取った情報をもとに整理しており、「不明」としている項目は判決文に記載がなかったものです。
  • 実際には、裁判に至る前の話し合いや調停で離婚が成立することのほうが多く、その場合はこの記事の目安と異なる条件で解決することも少なくありません。
  • 離婚が認められるかどうかは、あくまで個別の事情で決まります。ご自身の状況については弁護士にご相談ください。

参考:集計した22件の一覧

別居期間の区分ごとの集計と、22件それぞれの概要です。判例番号は判例秘書の文献番号、判決日の「R」は令和、「H」は平成を表します。

別居期間件数離婚を認めた認めず(まだ壊れていない)認めず(請求した側に責任)認められた割合
3年未満835038%
3〜5年未満523040%
5〜10年未満640267%
10年以上320167%
合計22118350%
22件の一覧表を開く
No判例番号裁判所判決日結論別居期間同居期間未成熟の子別居以外の事情裁判所の判断の要点
1L06360051神戸家裁H20.12.24認めず(まだ壊れていない)1年未満約18年なし(成人)妻が夫の先妻の位牌を送付、夫のアルバムを廃棄するなど(高齢夫婦)別居1年未満で、妻の行為も直ちに関係を壊すものとはいえない→離婚は認めず(控訴審No.2で逆転)
2L06420840大阪高裁H21.5.26離婚を認めた1年余約18年なし(成人)妻の一連の言動、夫は高齢(約80歳)結婚期間だけ見れば修復の余地もあるが、妻の言動で信頼関係が失われたことを重視し、別居1年余でも離婚を認めた
3L07360042東京家裁H30.3.27認めず(まだ壊れていない)約1年7か月約7年あり性格の不一致(相手は修復を希望)原因は性格の不一致にとどまり、相手が修復を望み、同居7年に対して別居1年7か月は短い→修復の可能性あり
4L06760023水戸家裁土浦支部H24.12.21認めず(まだ壊れていない)1年8か月10年以上不明妻が主張した夫の不貞・暴行は認められず1年8か月の別居を重く見るのは相当でなく、離婚の意思が強くても回復の見込みがないとまではいえない
5L07460007横浜家裁H31.3.27認めず(まだ壊れていない)約2年約7年3か月あり夫の風俗利用・ゲーム課金(不貞には当たらないと判断)同居7年3か月、幼い子2人、別居は2年にとどまる→真摯に話し合えば修復の余地あり
6L06820331東京高裁H25.4.25認めず(まだ壊れていない)約2年不明不明妻が主張した夫の不貞は認められず、性格・価値観の違い別居2年、離婚の意思が強くても、回復の見込みがないほど深刻とはいえない(No.4の控訴審)
7L07760046横浜家裁R4.5.31離婚を認めた2年余5年余あり夫の暴行2回同居5年余に対して別居2年余は相当な期間、修復の努力もなく、修復の意思も失われた→破綻
8L07760047大阪家裁R4.2.15離婚を認めた約2年4か月約7年あり妻がシェルターに避難(夫の言動)別居はそれほど長くないが、別居に至った経緯、修復の動きがないこと、離婚の意思が固いことから破綻
9L06320749名古屋高裁H20.4.8認めず(まだ壊れていない)3年3か月約2年あり妻の言動はうつ病の影響の可能性、夫の母の干渉調停・訴訟以外に話し合いの機会がなく、治療と夫の理解で改善も期待できる→まだ破綻とはいえない(一審の離婚認容を取消)
10L07060036東京家裁立川支部H27.1.20認めず(まだ壊れていない)約3年余(一審時点)約9年あり妻が主張した暴言・暴力は認められず、性格・考え方の違いお互いの理解の努力で修復の余地あり→離婚は認めず(控訴審No.13で逆転)
11L07220200東京高裁H29.6.28離婚を認めた約3年5か月約10年あり夫が家事・育児に非協力、妻の気持ちへの無理解一審の棄却を取り消し、夫婦関係は破綻しているとして離婚を認めた
12L07760044東京家裁R4.4.28認めず(請求した側に責任)4年6か月超不明あり夫(原告)が生活費を払わず「兵糧攻め」別居4年半超は破綻を裏付けるが、原因は原告の身勝手な行動→有責配偶者として棄却(控訴審No.14も同じ結論)
13L07120352東京高裁H28.5.25離婚を認めた4年10か月余約9年あり言い争いの増加、原告の心身の不調(相手だけの責任とはいえない)別居4年10か月余と長く、修復の見込みなし→破綻(一審No.10の棄却を取消)
14L07720897東京高裁R4.11.15認めず(請求した側に責任)5年超不明あり夫(原告)の生活費不払い・訴訟提起などで破綻の主な責任破綻は認めつつ、有責配偶者からの請求は信義則上許されない(一審No.12を維持)
15L07860028水戸家裁土浦支部R5.5.16離婚を認めた5年超(同居再開あり)不明あり夫の飲酒時の暴言・暴力、生活費の不払い別居5年超、修復の話し合いの形跡なし、離婚の意思が固く、相手の非難も続いている→破綻
16L07660007東京家裁R3.3.29離婚を認めた6年以上短期あり夫が家事・仕事に関わらず一方的に出国/相手が主張した原告の不貞は否定6年以上の別居、同居再開の見込みなし、修復不可能→破綻
17L07320766東京高裁H30.12.5認めず(請求した側に責任)7年以上不明あり夫(原告)が妻子と病気の親を放置して一方的に別居、話し合いを一切拒否破綻の原因はもっぱら原告側→信義則に反し許されない(一審の認容を取消)
18L07560049福岡家裁久留米支部R2.9.24離婚を認めた8年超約15年超なし(記載なし)夫(原告)が理由なく一方的に別居(離婚慰謝料200万円も命じる)別居8年超、この点だけからみても修復の見込みなく破綻
19L07360006福岡家裁行橋支部H30.6.19離婚を認めた約9年約18年なし(成人)妻が主張した夫の暴力は不和の中で偶発的と判断約9年の別居、2度の調停不成立、別居解消の行動なし→完全に破綻
20L07460058京都家裁R1.6.21離婚を認めた約12年不明なし(記載なし)相手が主張した原告の不貞は証拠なしとして否定別居約12年と相当長期、断絶状態で婚姻生活の実体なし→破綻
21L07560054東京家裁R2.2.3離婚を認めた10年超約14年なし(成人)原告の過去の不貞は許されており破綻の原因ではないと判断/双方が離婚を請求別居10年超、双方に結婚を続ける意思なし→破綻
22L06320822東京高裁H20.5.14認めず(請求した側に責任)15年以上不明なし(成人。障害のある子)夫は多くの資産・収入がありながら、妻子が困窮したときに援助を拒否破綻は認めつつ、離婚で妻が経済的に苦しくなり障害のある子の支援も一人で担うことになる→有責配偶者の請求として棄却(一審の認容を取消)

ご自身のケースでは見通しがどうなるか、一緒に整理します

別居が続いていて離婚を進めたい方も、相手から離婚を求められてお困りの方も、まずはお話をお聞かせください。別居の経緯や期間、生活費の状況、これまでの話し合いの経過をうかがったうえで、見通しと進め方をご説明します。

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本記事は2026年10月4日時点の判例データベース(判例秘書 SMART)の検索結果をもとに作成しています。個別の事案についての法的助言ではありません。

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