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統計データによる最新の離婚理由ランキング

最終更新日:2022年11月21日

1 最新の統計からわかる離婚の原因

 一言で離婚といっても、離婚の理由は様々です。
 家庭裁判所に離婚事件が持ち込まれる場合、どのような離婚理由がどの程度の割合を占めるのか、気になるところです。

 そこで、最新の統計データ(令和3年司法統計)をチェックし、離婚調停が申し立てられる際の離婚理由の種類・割合を調査してみました。
 まずは、その結果を端的にグラフで示したいと思います。

令和3年司法統計からデータを抽出

 いかがでしょうか?
 グラフを見るとわかるとおり、離婚理由の第1位は「性格の不一致」です。
 続く第2位は「精神的虐待」であり、モラルハラスメントが大部分を占めていると思われます。
 離婚理由の典型例である「不貞(異性関係)」は第5位であり、実はさほど順位が高くないことがわかります。

 続いて考えたいのは、「なぜ性格の不一致が第1位の離婚理由となっているのか?」についてです。
 「性格の不一致」は、実のところ、民法上の離婚事由とはなりにくいことが多いです。そもそも、夫婦といえども元々は他人です。他人同士が夫婦として一緒に生活するのですから、性格の不一致が生じることは当然ともいえます。したがって、性格の不一致は、離婚の理由として主張するには弱いものです。
 それにもかかわらず、なぜ性格の不一致が離婚理由の第1位になるかというと、「明確な離婚の理由が存在しない場合にも使える便利な表現だから」だと思われます。世の中の離婚事件には、明確な離婚理由を特定しにくい事案も多々あります。このような場合には、性格の不一致を離婚理由として特定せざるを得ないという実情があります。
 もうひとつの理由は、性格の不一致が他の離婚理由と並列的に主張されることが多いことにあります。例えば、「主な離婚理由は不貞だけれども、性格の不一致も離婚理由のひとつとして主張しておく」という扱いがされることがあります。このことによって、性格の不一致が離婚理由としてカウントされる件数が増えるのでしょう。

2 10年前と比べて離婚の原因は変化している?

 次に、10年前と現在とで離婚理由のランキングに変動があるかを見てみます。
 データとして抽出したのは、平成24年(2012年)の司法統計です。これをグラフにすると、次のとおりです。

平成24年司法統計からデータを抽出

 10年前の離婚理由ランキング第1位は、現在と変わらず「性格の不一致」です。
 やはり、性格の不一致の汎用性の高さが理由でしょう。

 第1位以下には順位の変動が見られます。
 ここ10年で、「精神的虐待」が離婚理由として主張されるケースが増えている(第4位から第2位へと上昇)のがわかります。これはおそらく、「モラルハラスメント」が世間に広く認知されるようになった結果なのかと思われます。肉体的な暴力に限らず、精神的な暴力も離婚理由となり得ることが世間に周知され、申立の理由とされるケースが増えたのでしょう。

3 離婚調停の解決率

 家庭裁判所に申し立てられる離婚調停に関し、主に主張される離婚理由ランキングは上記のとおりです。
 では、実際のところ、申し立てられた離婚調停のうち何パーセントが解決に至ったのでしょうか?

 これも令和3年の司法統計からデータを抽出します。
 令和3年の司法統計によれば、申し立てられた調停の件数が6万4885件、そのうち離婚調停の成立に至った件数が2万1758件なので、およそ33パーセントが解決に至ったことになります。
 この割合を高いとみるか低いとみるかは人それぞれですが、離婚調停に至るケースは、調停前の離婚協議を経ても解決が難しい事案である(協議が難しいからこそ離婚調停を申し立てる)ことを考えると、解決率としては決して低くない数字だと思います。

4 統計データから見る夫婦円満のポイント

 ここまで、離婚理由の統計データを説明してまいりました。
 統計データを裏返しに見ると、夫婦円満のポイントがわかります。

 統計データ上、必ずしも離婚理由としては強力ではない「性格の不一致」がランキング第1位となっているにもかかわらず、離婚調停の成立率は33パーセント(3分の1)と、決して低い数字ではありません。
 このデータの意味するところは、「法律上の離婚事由があるかどうかにかかわらず、配偶者に離婚を決意させるほどの不満をもたせてしまうと、離婚は避けがたい」ということでしょう。
 考えてみれば、配偶者に離婚調停を申し立てられた状況で、今後も円満な夫婦関係を続けることは至難のわざです。
 そうすると、配偶者に不満をもたれないよう行動する、少なくとも、不満をもたれるようなら早期に関係を修復しておくことが夫婦円満のポイントだと思います。

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記事投稿者プロフィール

下大澤 優 弁護士 仙台弁護士会所属 登録番号49627

専門分野:離婚事件、男女関係事件

経歴:静岡県出身。中央大学法学部法律学科、東北大学法科大学院を経て、平成26年1月に弁護士登録。仙台市内の法律事務所での勤務を経て、平成28年1月、仙台市内に定禅寺通り法律事務所を開設し、現在に至ります。主に離婚事件・男女問題トラブルの解決に取り組んでおります。

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