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ホテルの宿泊情報を入手して不貞の立証をする方法

記事作成日:2022年7月23日
最終更新日:2023年5月16日

1 はじめに

配偶者の不貞(浮気)を立証するための証拠を集める方法には様々なものがあります。
オーソドックスなところでは、探偵に依頼して追跡調査を行う、配偶者のLINEのやり取りなどを確認するといった方法が考えられます。

ただ、探偵への依頼はそれなりの費用がかかります。
また、LINEのやり取りを確認しても、不貞を裏付ける決定的な証拠を取得できないこともあります。

不貞を裏付ける証拠として最も有力なのは、「ホテルへの宿泊の事実を立証できる証拠」です
この記事では、「ホテルへの宿泊の事実を立証できる証拠」をローコストで取得する方法について解説いたします。

2 ホテルは宿泊者の情報を管理している

一般的なホテルでは、宿泊者の情報を管理しています。
皆さんも、ホテルに宿泊するとき、氏名・住所・連絡先といった情報をホテルに提供したことがあるはずです。
ホテル側は、「誰が、いつ宿泊したか」という情報を保有しています。
また、2名以上でホテルを利用する場合には、ホテル側が同宿者の情報をも保有することがあります。

ただ、不貞をするときに利用されることが多いラブホテルに関しては、必ずしも厳密な宿泊者情報の管理がされているわけではありません。
氏名・住所・連絡先といった情報を提供することなく利用できる場合も多々あります。
しかし、ラブホテルの利用料金をクレジットカードで決済した場合、ラブホテル側は、その決済情報を保有します。
つまり、「このクレジットカードを所持する者が、いつ宿泊(休憩)したか」という情報は、ラブホテル側が把握できるのです。

以上の情報をホテル側に直接確認することができれば、「配偶者が、いつホテルを利用したか」という情報を入手することができます
また、場合によっては、「配偶者が誰とホテルに宿泊したか」という情報も把握できるでしょう。

3 ホテル側は簡単に情報を開示してくれるのか

宿泊情報をホテル側に確認すると言っても、ホテル側は応じてくれるのでしょうか?
残念ながら、第三者が宿泊情報の開示を求めても、ホテル側が開示に応じてくれる可能性はまずありません。
宿泊情報は重要なプライバシー情報ですから、第三者が開示を求めても、ホテル側としては拒否するしかありません。

ホテル側に宿泊情報の開示を求めるためには、適切な手続を利用しなければなりません。
具体的には、弁護士法23条の2に基づく照会手続(いわゆる「23条照会」)を利用します
23条照会とは、「弁護士が、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出る手続」です。
要するに、弁護士会を通じ、特定のホテルに対し、「この人物の宿泊情報を開示してください」と情報照会をするのです。
23条照会を行うためには手数料として5000円がかかりますが、調査に要する費用としては比較的ローコストです。

4 23条照会によって宿泊情報は開示されるのか

実際のところ、23条照会によって宿泊情報は開示されるのでしょうか?

この点については、筆者の経験上、「ある程度の割合で情報を開示してもらうことができる」という印象です。
筆者が実際に23条照会を利用して宿泊情報の開示を求めた際、宿泊者の氏名・同宿者の氏名・チェックインの日時・チェックアウトの日時といった情報をきちんと開示してもらえたことがありました。
他方、ホテルによっては、個人情報を理由として情報開示を拒否されることもありました。

また、ラブホテルに関しては、クレジットカード情報を特定して利用履歴を照会したところ、きちんと利用履歴が開示されたことがあります。

<2023年5月16日追記>

新たにホテルへの23条照会を行ったところ、回答を得ることができたため、参考事例として追記いたします。

某旅館2軒に23条照会を行いました。
うち1軒からは、旅館が保有する「チェックインカード」のコピーを入手することができました。
「チェックインカード」には、宿泊人数・性別・チェックイン・アウトの時刻等の情報が記載されており、それ自体で不貞の事実を立証し得るものでした。
もう1軒は、宿泊予約票のコピーを入手することができたものの、残念ながら直前で予約がキャンセルされた情報が記載されておりました。
ただ、キャンセルがされなければ宿泊履歴が取得できた可能性が高いため、やはり23条照会の有効性は高いといえるでしょう。

5 おわりに

以上のとおり、23条照会を利用することによって、ホテルへの宿泊情報を入手できる場合があります。
首尾よく情報を入手できれば、不貞を立証するための有力な証拠を得ることができますから、試してみる価値は十分あるでしょう。

ただ、23条照会を利用して情報を入手する場合、注意すべき点もあります

1つ目は、「調査対象となるホテルを特定しなければならないこと」です。
配偶者がどのホテルを利用した可能性があるのか、事前にあたりをつけなければなりません。

2つ目は、「調査のみを目的とする23条照会はできないこと」です。
ここは少しややこしいのですが、23条照会という手続は、「弁護士が受任している事件を処理するために必要な情報を収集するための手続」であり、「不貞の調査だけを目的とする23照会の利用」はできません。
あくまでも、不貞慰謝料請求事件を弁護士に依頼することが前提となります。

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記事投稿者プロフィール

下大澤 優 弁護士 仙台弁護士会所属 登録番号49627

専門分野:離婚事件、男女関係事件

経歴:静岡県出身。中央大学法学部法律学科、東北大学法科大学院を経て、平成26年1月に弁護士登録。仙台市内の法律事務所での勤務を経て、平成28年1月、仙台市内に定禅寺通り法律事務所を開設し、現在に至ります。主に離婚事件・男女問題トラブルの解決に取り組んでおります。

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