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探偵費用を不貞慰謝料に上乗せして請求できるか

最終更新日:2022年6月25日

1 はじめに

 不貞慰謝料を請求する事案の場合、「不貞慰謝料のほか、不貞調査のために支出した費用を相手方に請求できるか」が問題となることがあります。
 具体的には、不貞を突き止めるために探偵に調査を依頼し、調査費用が100万円かかった場合、慰謝料+調査費用100万円を請求できるかという問題です。

 探偵に依頼した場合の調査費用は様々ですが、調査の内容によっては、100万円を超える費用がかかることも珍しくありません。
 不貞慰謝料を請求する側にしてみれば、調査費用を請求できないとなると、慰謝料を支払ってもらったとしても、実質的な利益は乏しくなってしまいます。
 他方、請求される側にしてみれば、慰謝料のほか高額な調査費用を負担させられることは過酷です。

 この記事では、不貞調査のために支出した費用について、どこまでの請求が可能なのかを解説いたします。

2 探偵費用についての一般論

 不貞相手に対して探偵費用を請求できるか否かを考えるとき、法律上の理屈としては、「探偵費用が、不貞行為と相当因果関係のある損害といえるのか?」を検討します。
 「相当因果関係」という概念は専門的ですが、わかりやすくいえば、「不貞行為によって発生する損害として、通常あり得る範疇か否か」の問題です。

 このように考えると、「実際に調査費用がかかったのだから、不貞との相当因果関係は当然認められるのではないか?」との疑問が生じるかと思います。
 しかし、このような理解は適切ではありません。
 考えるべきは、「実際にかかった調査費用のうち、どこまでを相手方に負担させるべきか」という点です。

 多くの裁判例は、上記のように、「相当因果関係」という概念を用いて、探偵費用を不貞の損害に含めるか否かを判断しています。
 次の項目では、実際の裁判例をいくつかご紹介いたします。

3 裁判例のご紹介

(1) 探偵費用を損害として認めた裁判例

・東京地方裁判所平成20年12月26日
 探偵費用が、不貞行為の損害を立証するための調査として必要性のあったことが明らかであると認定し、実際にかかった調査費用のうち100万円を、不貞行為と相当因果関係のある損害と認めました。

・東京地方裁判所平成25年5月30日
 実際の調査内容が「それほど専門性の高いものとまではいえない」と指摘し、実際にかかった調査費用207万9000円のうち、10万円を、不貞行為と相当因果関係のある損害と認めました。

(2) 探偵費用を慰謝料額の算定にあたり考慮した裁判例

・東京地方裁判所平成29年12月19日
探偵費用として73万6032円を要した事案において、「調査費用は不貞関係の把握のために有効であることは確かであるとしても、一般に不貞行為という不法行為から生ずる費用とまでは言い難く、相当因果関係があるとは認め難い。」とし、探偵費用自体を損害とするのではなく、不貞慰謝料算定の一事情として考慮しました。

(3) 探偵費用を損害として認めなかった裁判例

・東京地方裁判所平成22年2月23日
 相手方が、探偵調査の以前から不貞の事実を認めていた事案において、「調査が不貞の立証に寄与した程度は低い」と認定し、探偵調査費用を不貞行為と相当因果関係のある損害から除外しました。

4 まとめ

 裁判例の傾向を踏まえますと、不貞慰謝料請求をする場合、探偵費用が損害の一部として認められるケースはあります。
 しかし、実際の調査費用の全額が損害として認められることは稀で、多くの場合は、実際にかかった費用の一部が損害として認められるにとどまります。
 少なくとも、全額を不貞相手に請求するつもりで探偵費用を支出することにはリスクがあるといえるでしょう。

 実際の調査費用のうち、どこまでが損害として認められるかはケースバイケースです。
 探偵の調査主張が専門的であり、不貞を立証するための証拠として価値が高ければ、損害として認められる額は高くなる可能性があります。
 また、探偵に依頼をするまでにどこまで不貞に関する証拠を保有していたかも重要な事情となります。
 探偵に依頼せずとも十分に不貞を立証できるだけの証拠を保有していた場合、探偵費用が損害として認められる可能性は低くなってしまうでしょう。

 不貞調査のために探偵に依頼をする際は、調査費用の大部分が自己負担になるリスクを踏まえて検討をした方がよさそうですね。

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記事投稿者プロフィール

下大澤 優 弁護士 仙台弁護士会所属 登録番号49627

専門分野:離婚事件、男女関係事件

経歴:静岡県出身。中央大学法学部法律学科、東北大学法科大学院を経て、平成26年1月に弁護士登録。仙台市内の法律事務所での勤務を経て、平成28年1月、仙台市内に定禅寺通り法律事務所を開設し、現在に至る。主に離婚事件・男女問題トラブルの解決に取り組んでいる。

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