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再婚・養子縁組を理由に面会交流条件の変更を認めた裁判例

最終更新日:2022年6月11日

1 はじめに

 離婚に際し、非親権者と子どもとの面会交流の条件を取り決めることは多々あります。
 離婚により、父母の一方は親権者でなくなりますが、子どもの親であることには変わりがないため、離婚後も継続的に面会交流を実施できれば、それに越したことはありません。

 しかし、離婚後、離婚当時には想定していなかった事情の変更が生じることもあります。
 「いかなる事情変更が生じても、当初取り決めた面会交流条件を維持しなければならない」と考えることは硬直的に過ぎ、子どもの健全な成長を阻害することにもつながりかねません。

 今回の記事では、離婚後に親権者が再婚をし、再婚相手と子どもが養子縁組をしたことを理由に面会交流条件の変更を認めた裁判例を紹介いたします。

2 裁判例の紹介

 ご紹介する裁判例は、大阪高等裁判所・平成18年2月3日決定(家庭裁判所月報58巻11号47頁)です。

(1) 事案の概要

 裁判例の事案は、非親権者である母親(以下「X」とします)が、親権者である父親(以下「Y」とします)に対し、離婚時に取り決めた面会交流条件を遵守するよう求め、調停を申し立てたものです。
 X・Yの調停は不成立となり、家庭裁判所の審判手続に移行し、面会交流条件について判断がされることになりました。

 X・Yの離婚時の取り決めでは、毎月1回程度、Xと子どもとが宿泊して面会交流を行うことが認められていました。
 ご紹介する裁判例の原審では、離婚時に取り決めた宿泊付き面会交流を維持すべきとの判断がなされました。
 Yは、原審の判断を不服として、大阪高等裁判所に即時抗告(不服申立)を行ったのです。

 この事案で着目すべきポイントとして、X・Yの離婚後、Yが再婚をし、再婚相手と子どもとが養子縁組をしたとの事情が存在します。
 Yとしては、再婚相手と子どもとが新たな家庭生活を築いている状況のもと、Xと子どもとが面会交流を行うことは不当であると考えたわけです。

(2) 裁判所の判断

 前記(1)の事実関係のもと、大阪高等裁判所は、離婚時に取り決めた面会交流条件を変更し、宿泊付きの面会交流は実施しないとの判断を行いました。
 大阪高等裁判所の判断内容のうち、重要な部分を抜き出すと次のとおりです。

 「現在は、抗告人(※筆者注:Yのことです)及び参加人(※筆者注:Yの再婚相手のことです)は、その共同親権の下で未成年者らとの新しい家族関係を確立する途上にあるから、生活感覚やしつけの違いから、未成年者らの心情や精神的安定に悪影響を及ぼす事態はできるだけ回避されなければならず、宿泊付きの面接交渉は、そのような危惧が否定できないものというべきであるから、現段階においては避けるのが相当である。土曜日には、未成年者らを相手方に引き渡す適切な者が見当たらず、また、従前の経緯からすれば、抗告人方で参加人から相手方に子らを引き渡す方法も相当でないという物理的な理由も考慮しなければならない。
今後、日帰りによる面接交渉が円滑に実施され、未成年者らに新しい生活習慣が身に付き、上記のおそれが払拭された時点で、改めて、宿泊付きの面接交渉の実施の可否が検討されるべきである。
相手方の宿泊付き面接交渉に関する希望は理解できるが、従来とは状況が異なることを理解すべきである。」

3 おわりに

 民法766条は、面会交流を定めるにあたっては、「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と規定しています。
 このことからすると、面会交流の条件を維持すべきか変更すべきかを判断するにあたっては、「子の利益」を軸に検討を行うべきです。

 ご紹介した裁判例においても、「未成年者の心情や精神的安定に悪影響を及ぼす事態はできるだけ回避されなければならず」との理由付けがされています。

 ご紹介した裁判例は、再婚と養子縁組を理由に面会交流の条件変更を認めたものですが、これ以外の理由であっても、面会交流の条件を変更すべき場合はあり得ます。
 事案ごとにケースバイケースの判断をするしかありませんが、「子の利益」を実現するという基本的視点に立ちつつ、妥当な条件を検討することが適切でしょう。

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記事投稿者プロフィール

下大澤 優 弁護士 仙台弁護士会所属 登録番号49627

専門分野:離婚事件、男女関係事件

経歴:静岡県出身。中央大学法学部法律学科、東北大学法科大学院を経て、平成26年1月に弁護士登録。仙台市内の法律事務所での勤務を経て、平成28年1月、仙台市内に定禅寺通り法律事務所を開設し、現在に至る。主に離婚事件・男女問題トラブルの解決に取り組んでいる。

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