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宝くじ当選金は財産分与の対象になるのか(東京高裁平成29年3月2日決定)

最終更新日:2022年2月13日

1 もし宝くじが当たったら

月々のお小遣いで宝くじを買う方は多いのではないかと思います。

幸運にも高額当選金が出たら、夫婦で喜びを分かち合うことでしょう。

夫婦円満ならば一緒に喜びを分かち合えばよいのですが、宝くじが当たった後、離婚をすることになったらどうなるでしょうか?

円満な夫婦ならば喜びを分かち合えばよいのですが、離婚をするとなると、喜びではなく当選金を分かち合うことになるのでしょうか?

「夫婦の一方が自分の運で引き当てた当選金なのに、離婚をするときは公平に分けなければならないの?」という疑問も浮かびます。

これが、宝くじ当選金の財産分与という問題です。

今回は、宝くじ当選金の財産分与が問題となった裁判例を紹介いたします。

2 裁判例の事案

ご紹介するのは、東京高裁平成29年3月2日決定(判例時報2360号8ページ)です。

この事案では、夫が自らの小遣いで宝くじを購入し、なんと約2億円もの当選金を引き当てました(うらやましい限りです)。

その後、宝くじの当選金は、夫婦の自宅の住宅ローン返済や生活費などに使われました。

しかし、夫婦は離婚をすることになり、財産分与の問題が発生しました。

財産分与では、当然ながら、宝くじ当選金によって形成された財産(不動産や預貯金など)をどのように清算すべきかが争われました。

夫の立場からすれば、「宝くじ当選金は自分の幸運で引き当てたものだから、自分の特有財産だ」と主張します。

他方、妻の立場からすれば、「宝くじ当選金も夫婦の共有財産だ」と主張します。

3 裁判所の判断

では、裁判所は実際にどのような判断をしたのでしょうか?

結論を先に言いますと、裁判所は、「宝くじ当選金によって形成された財産を、夫が6割・妻が4割の割合で財産分与すべきである」と判断しました。

裁判所の判断を引用すると次のとおりです。

「本件当選金を得た宝くじの購入資金は、妻と夫の婚姻後に得られた収入の一部である小遣いから拠出されたこと、本件当選金の使途も、同人ら家族が自宅として使用していた本件土地建物の借入金約2000万円の返済に充て、夫が勤務先を退職してからは、毎月、本件当選金を原資として生活費相当分を拠出したこと等が認められる。そうすると、宝くじの購入資金は夫婦の協力によって得られた収入の一部から拠出され、本件当選金も家族の住居費や生活費に充てられたのだから、本件当選金を原資とする資産は、夫婦の共有財産と認めるのが相当である。」、「分与割合については、妻が4、夫6の割合とするのが相当である。」

4 裁判所の判断についてのコメント

「夫婦の一方が自らの幸運で引き当てた当選金なのに、相手方に4割も分与しなければならないの?」という感想を抱いた方もいらっしゃるかと思います。

このような感想も、決しておかしいとはいえません。

ただ、法律論として考えた場合、婚姻生活の中で偶然得た利益を、夫婦間でどのように分配することが公平か?という視点で検討をしなければなりません。

夫婦が離婚をしなければ、宝くじ当選金は生活費などに使われ続けていたはずです。これが、夫婦が離婚をすることになった途端に当選者だけが当選金を独占できるとなると不公平感は否めません。

宝くじ当選金が夫婦の生活費として使われていたという事情は、当選金が夫婦の共有財産と扱われていたことを示すものです。そうすると、当選金は夫婦の共有財産として財産分与の対象になり、当選金を引き当てた貢献度は分与割合を調整する方法で反映させることが妥当だと思います。

妻が4割・夫が6割という分与割合については、厳密な根拠を示すことは難しいでしょう。これは、裁判所の裁量によって、ある程度感覚的に決められたのだと思われます。

記事投稿者プロフィール

下大澤 優 弁護士 仙台弁護士会所属 登録番号49627

専門分野:離婚事件、男女関係事件

経歴:静岡県出身。中央大学法学部法律学科、東北大学法科大学院を経て、平成26年1月に弁護士登録。仙台市内の法律事務所での勤務を経て、平成28年1月、仙台市内に定禅寺通り法律事務所を開設し、現在に至る。主に離婚事件・男女問題トラブルの解決に取り組んでいる。

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