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出産育児一時金と婚姻費用との関係に関する裁判例(横浜家庭裁判所・平成24年5月28日決定)

最終更新日:2022年1月29日

1 はじめに

夫婦が別居を始めた後、妻が子どもを出産することがあります。

子どもを産むとなれば、当然出産費用が発生します。

出産費用に関しては、公的補助として支給される出産育児育児金が存在し、通常は、出産育児一時金を出産費用にあてて、それでもカバーできない費用がある場合には自己負担で支払う方法をとります。

他方で、別居中の夫婦間には婚姻費用の分担義務が発生するため、妻の出産費用を夫が負担すべきではないか、という問題が生じます。

妻の出産費用を夫が負担する場合、①出産費用から出産育児一時金として支給される額を差し引いた残額を負担するのか、②出産育児一時金を差し引かずに出産費用全額を負担するのか、どちらが適切かが問題となります。

今回ご紹介する裁判例は、以上の点について判断が示されたものです。

※婚姻費用についての解説は、こちらをご覧ください>>婚姻費用について

2 裁判所の判断

裁判所は、次のように述べ、まず出産育児一時金を出産費用にあて、それでもカバーできない費用を夫婦間で分担すべきであると判断しました。

「出産育児一時金は、少子化対策の一環として支給される公的補助金であり、それが支給される以上、出産費用はまずそれによって賄われるべきである。」

これにより、実際にかかった出産費用から、出産育児一時金として支給された42万円を差し引き、残りを夫婦間で分担すべきという結論が採用されました。

3 コメント

今回ご紹介した裁判例のように、公的補助金と婚姻費用との関係が問題になる事例は割と存在します。

公的補助金と婚姻費用との関係を考えるときは、問題となる公的補助金の趣旨や性質に立ち返って検討をしなければなりません。

出産育児一時金に関していえば、健康保険組合から病院に対し直接の支払いをする制度が存在し、事実上、出産育児一時金を出産費用にあてることが一般化しています。

出産育児一時金の趣旨や、実際の運用を考えると、今回ご紹介する裁判例の判断は妥当だったのではないでしょうか。

記事投稿者プロフィール

下大澤 優 弁護士 仙台弁護士会所属 登録番号49627

専門分野:離婚事件、男女関係事件

経歴:静岡県出身。中央大学法学部法律学科、東北大学法科大学院を経て、平成26年1月に弁護士登録。仙台市内の法律事務所での勤務を経て、平成28年1月、仙台市内に定禅寺通り法律事務所を開設し、現在に至る。主に離婚事件・男女問題トラブルの解決に取り組んでいる。

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