1 はじめに
「子どもの養育費を支払っていますが、この度、別れた妻が再婚し、再婚相手と子どもが養子縁組をしたようです。私は養育費を払い続ける必要があるのでしょうか?」
このようなご相談を受ける機会は多くあります。今回は、別れた妻が再婚をし、子どもと再婚相手が養子縁組をした場合の養育費の扱いについて解説をいたします。
2 一度取り決めた養育費が変更される場合
養育費を一度取り決めたとしても、取り決めた金額が変更されることがあります。
養育費を取り決めた後、取り決め時点で予測し得なかった事情の変更が発生した場合には、一度取り決めた養育費を変更する必要が生じるのです。
離婚後、別れた妻の再婚相手と子どもが養子縁組をした場合は、一度取り決めた養育費を変更すべき場合にあたります。
3 養子縁組によって養育費がどのように変更されるか
別れた妻の再婚相手と子どもが養子縁組をすると、再婚相手(養親)が、子どもに対する第1次的な扶養義務を負うことになります。
これに伴い、実親の扶養義務は第2次的なものとなります。
養親が第1次的な扶養義務を負う結果、養親の収入によって子どもの生活費が十分にまかなえる場合、実親の養育費支払義務は免除されることになります。
また、養親の収入によって子どもの生活費を十分にまかなうことができなくとも、養親に一定の収入がある以上、実親が支払うべき養育費は減額されます。
別れた妻の再婚相手と子どもが養子縁組をしたことが明らかになった場合、養育費の免除・減額請求を検討することが適切です。
4 どのように養育費の免除・減額を求めるか
別れた妻との話し合いによって養育費の免除・減額を取り決めることもできます。
ただ、後々争いが生じないように取り決めをする場合、養育費の免除・減額を求めて調停を申し立てることがベストな選択です。
記事投稿者プロフィール
下大澤 優 弁護士 仙台弁護士会所属 登録番号49627
専門分野:離婚事件、男女関係事件
経歴:静岡県出身。中央大学法学部法律学科、東北大学法科大学院を経て、平成26年1月に弁護士登録。仙台市内の法律事務所での勤務を経て、平成28年1月、仙台市内に定禅寺通り法律事務所を開設し、現在に至ります。主に離婚事件・男女問題トラブルの解決に取り組んでおります。