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退職金の財産分与について

最終更新日:2022年3月6日

1 はじめに

今回の記事では、退職金の財産分与について解説をいたします。
 退職金の財産分与については、次の点が問題となります。
 ①そもそも退職金は財産分与の対象になるのか?
 ②将来支給される退職金は財産分与の対象となるのか?
 ③退職金の財産分与額はどのように計算するのか?

 それぞれの問題について、以下解説いたします。

2 ①退職金は財産分与の対象になるのか

 そもそも退職金が財産分与の対象になるのかという点に関しては、一般的に、「退職金も財産分与の対象になる」と解釈されています。
 これは、退職金の性質から導かれる結論です。
 退職金には、「賃金後払い的性質」が含まれます。つまり、これまで一生懸命働いてきた分を、退職時に後払いするという性質です。
 このことからすると、退職金には、「婚姻期間を通じて一方配偶者が働いた分の後払い賃金」が含まれることになります。そして、一方配偶者が一生懸命働くことができたのは、他方配偶者の協力があればこそだといえます。
 そうすると、退職金は、夫婦が協力して作り上げた財産という性質を有することになります。
 夫婦が協力して作り上げた預金などは財産分与の対象になるわけですから、退職金が財産分与の対象から除外されるべき理由はないわけです。

3 ②将来支給される退職金は財産分与の対象となるのか

 財産分与をする時点で既に退職をしており、退職金を受領済みである場合は、受領した退職金をもとに財産分与を考えればよいです。
 ただ実際には、財産分与をする時点では、退職金の支給が将来予定されているにすぎない場合が多くあります。
 このように、退職金が将来支給される予定である場合、「将来支給される予定であるにすぎない退職金を財産分与の対象とすることができるのか?」という問題が生じます。
 この点については、「退職金の支給までに相当の期間(10年以上)がある場合、将来退職金が支給される蓋然性が低くなり、財産分与の対象にはならない」という見解が存在します。
 ただ、近年の裁判実務では、退職金の支給日が相当先(10年以上先)であっても、財産分与の対象に含めるという扱いが有力です。
 たとえば、以下の裁判例では、退職金支給日が相当先であっても財産分与を認めています。
 ・東京家庭裁判所/平成28年3月30日審判/判例時報2372号21頁
 →在職期間が16年の事案において、退職金の財産分与を認めた審判例
 ・さいたま家庭裁判所川越支部/平成29年4月28日審判
 →在職期間が21年の事案において、退職金の財産分与を認めた審判例

4 ③退職金の財産分与額はどのように計算するのか

 退職金を財産分与の対象に含めること自体に問題がなければ、実際の分与額を計算していきます。
 退職金の財産分与額を計算する際に大事な要素は次のとおりです。
 ・支給される退職金の額
 ・財産分与基準時(別居時または離婚時)までの在職期間
 ・夫婦の同居期間
 ・財産分与の割合
 以下、順に説明いたします。
(1) 支給される退職金の額
 既に退職金を受領している場合は、受領した退職金額をベースにすればよいです。
 他方、退職金が将来支給される場合は、現時点での退職金額を仮定しなければなりません。
 この場合、「財産分与基準時に自己都合退職をした場合に支給される退職金額」をベースにすることが一般的です。
 自己都合退職をする場合、定年退職をする場合と比べて退職金の支給率が減少する扱いが多く、退職金額は低く算出されますが、この点は仕方がありません。
(2) 財産分与基準時(別居時または離婚時)までの在職期間
 結婚をする以前から働いている場合、独身時代に働いた期間分の退職金は特有財産となります。
 そのため、独身時代も含めた総在職期間をまず算出する必要があります
(3) 夫婦の同居期間
 (2)と対比するため、夫婦の同居期間を算出します。
 総在職期間に占める同居期間の割合が、退職金の財産分与の範囲となります。
(4) 財産分与の割合
 基本的には、夫婦各自50%の割合で財産分与をすることが適切です。 特殊事情がある場合には財産分与割合を修正することもあり得ます。
(5) 退職金の財産分与の計算式
 上記(1)~(4)の要素をもとに、以下の計算式で退職金の財産分与額を計算します。
 ・支給される退職金額×同居期間÷総在職期間×財産分与割合

5 実際の計算例

 言葉だけではわかりづらいと思いますので、架空の事例をもとに退職金の財産分与額を計算してみます。
 夫の総在職期間が15年(180ヶ月)、夫婦の同居期間が12年(144ヶ月)、夫の退職金支給額が1000万円という事例を想定すると、退職金の財産分与額は次のとおりです。妻は、退職金のうち400万円を財産分与として取得できる計算となります。

 1000万円(支給される退職金額)×144ヶ月(夫婦の同居期間)÷180ヵ月(総在職期間)×0.5(財産分与割合)
=400万円(妻が取得する財産分与額) 

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記事投稿者プロフィール

下大澤 優 弁護士 仙台弁護士会所属 登録番号49627

専門分野:離婚事件、男女関係事件

経歴:静岡県出身。中央大学法学部法律学科、東北大学法科大学院を経て、平成26年1月に弁護士登録。仙台市内の法律事務所での勤務を経て、平成28年1月、仙台市内に定禅寺通り法律事務所を開設し、現在に至る。主に離婚事件・男女問題トラブルの解決に取り組んでいる。

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