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婚約相手が既婚者である場合に婚約破棄の慰謝料請求ができるか

最終更新日:2022年8月27日

1 はじめに

 婚約をした当事者の一方が不当に婚約を破棄した場合、破棄された側は慰謝料等を請求することができます。
 これが、婚約の不当破棄についての一般的な考え方です。

 しかし、婚約をした相手が既婚者であった場合、上記の考え方は成り立つでしょうか?
 婚約相手が既婚者であることを知りつつ婚約をし、その後婚約が不当に破棄された場合でも慰謝料等を請求することができるのでしょうか?
 今回の記事では、この問題について解説いたします。

2 既婚者が婚約をすることの問題

 そもそも、既婚者が婚約をすることの問題はどこにあるのでしょうか?
 日本の法制度は一夫一妻制を採用していますから、重婚(2人以上の相手と婚姻すること)は当然ながら違法です。
 しかし、婚約は、婚約をする当事者の合意の問題ですから、有効性を認めてもよいのではないでしょうか?

 しかし、一般的には、既婚者との婚約には法的効力が生じないと理解されています。
 この理由は、「既婚者との婚約に法的効力を認めた場合、現に継続している婚姻関係の解消を義務づける結果となり、現存する婚姻関係が保護されず不当である」という点にあります。
 婚約をした既婚者の配偶者の立場からすれば、自身の婚姻関係の解消を前提とする婚約の法的効力が認められては困ります。
 このため、既婚者との婚約を法的に保護する必要性はないと考えることが原則です。

3 既婚者との婚約が有効となり得る場合

 以上のとおり、既婚者との婚約は法的に保護されないのが原則ですが、例外があります。
 どのような場合が例外にあたるのかを一言でいえば、「婚姻関係が既に破綻に至り、形骸化している場合」です

 例えば、別居期間が20年継続し、その間ほとんど連絡も取り合っていない夫婦がいたとします。
 その夫婦の一方(夫でも妻でも構いません)が、新たなパートナーを見つけ、夫(または妻)と離婚することを前提に婚約をした場合、この婚約は法的保護に値すると考える余地があります。

 そもそも、既婚者との婚約の法的効力が認められない理由は、「既に存在している婚姻関係を保護する必要があるから」です。
 そうすると、既に存在している婚姻関係が、もはや保護すべき状態にないのであれば、婚約の法的効力を認める余地が生じるのです。

 以上のような場合において婚約の不当破棄が発生すれば、婚約を破棄された側は慰謝料等を請求する余地があります。

4 そもそも既婚者であることを知らされていない場合

 補足として、婚約をしたときに、「婚約相手が既婚者であることを知らなかった場合」について説明いたします。

 このような場合、「既婚者であることを隠されたまま婚約をしてしまったこと」自体を理由に慰謝料等を請求することができます。
 相手方が既婚者であるか否かは、婚約をする上での重要な事実ですから、この事実を隠したまま婚約をさせることが自体が不法行為になり得るということです。

5 参考となる裁判例

 最後に、既婚者との婚約の法的有効性が争われた裁判例をご紹介いたします。
 ご紹介するのは、東京地方裁判所・平成29年10月18日判決です。
 この裁判例は、既婚者である男性(被告)と交際していた女性(原告)が、婚約の不当破棄を理由とする慰謝料等を請求した事案です。
 既婚者との婚約に法的効力を認めることができるかという争点について、裁判所は次のように判示しました。

一方当事者が婚姻中である場合には、離婚することを義務付ける合意に法的拘束力を与えることは相当ではないから、当該婚姻が全く形骸化して実体のないものであるか、あるいは、夫婦間において離婚の合意が成立しているなど、当該婚姻関係を保護すべき実質的理由が消滅している場合に限り、婚姻予約契約の効力を認めることができると解すべきである。

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記事投稿者プロフィール

下大澤 優 弁護士 仙台弁護士会所属 登録番号49627

専門分野:離婚事件、男女関係事件

経歴:静岡県出身。中央大学法学部法律学科、東北大学法科大学院を経て、平成26年1月に弁護士登録。仙台市内の法律事務所での勤務を経て、平成28年1月、仙台市内に定禅寺通り法律事務所を開設し、現在に至る。主に離婚事件・男女問題トラブルの解決に取り組んでいる。

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