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養育費について

最終更新日:2022年7月2日

1 養育費とは

養育費は、子を監護している親(監護親)から、子を監護していない親(非監護親)に対し請求することのできる、未成熟の子の養育のための費用です。

養育費の法的根拠は、民法766条1項です。民法766条1項は、離婚をするにあたっては「子の監護に要する費用の分担」を定めると規定しています。

2 養育費の金額はどのように決まるか

養育費は、父母双方の収入、子の人数・年齢といった事情をもとに算定します。

養育費を簡単に算定するためのツールとして、「養育費算定表」が作成され公開されています。

養育費算定表は、子の人数・年齢に応じていくつかのパターンに分かれているため、それぞれの世帯構成に応じた算定表を使用します。

以下に養育費算定表を記載いたしますので、養育費額を算定するためのツールとしてご利用ください。

・(表1)養育費・子1人表(子0〜14歳)

・(表2)養育費・子1人表(子15歳以上)

・(表3)養育費・子2人表(第1子及び第2子0〜14歳)

・(表4)養育費・子2人表(第1子15歳以上、第2子0〜14歳)

・(表5)養育費・子2人表(第1子及び第2子15歳以上)

・(表6)養育費・子3人表(第1子、第2子及び第3子0〜14歳)

・(表7)養育費・子3人表(第1子15歳以上、第2子及び第3子0〜14歳)

・(表8)養育費・子3人表(第1子及び第2子15歳以上、第3子0〜14歳)

・(表9)養育費・子3人表(第1子、第2子及び第3子15歳以上)

3 養育費算定表があてはまらない場合はどのように養育費を算定するのか

養育費算定表は、あくまでも簡易に養育費を算定するためのツールです。

そのため、子の人数が多い場合(算定表で対応できるのは3人まで)、再婚をし、前配偶者との子がいる場合、高額な学費等の出費がある場合など、個々の家庭ごとの特殊な問題には対応しきれないことがあります

このような場合には、算定表を用いるのではなく、養育費を算定するための計算式を利用して適切な養育費を算定しなければなりません。

当事務所では、より適切な養育費を算定するため、算定表ではなく計算式に基づいた算定を行っております。

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4 養育費の支払いはいつから始まるのか(養育費の始期)

離婚をする際に養育費をきちんと取り決めていた場合は、離婚後すぐに養育費の支払義務が発生します。

しかし、離婚をするときには養育費の取り決めをせず、離婚後一定期間が経ってから養育費を請求することもあります。この場合、離婚をしてから請求をするまでの間の養育費(過去の養育費)をさかのぼって請求することができるかが問題となることがあります。これが「養育費の始期」の問題です。

この点について、原則として、「養育費を請求したとき」が養育費の始期になると理解されています。つまり、きちんと養育費を請求しておかないと、過去にさかのぼって養育費の支払いを求めることはできなくなってしまうということです。

次に、何をもって「養育費を請求」したといえるかが問題となります。

最も明確なのは、養育費分担調停を申し立てた時点です。調停を申し立てることによって請求の意思は明確になりますから、調停申立時点が養育費の始期となることに争いはありません。

その他、当事者間で養育費を請求した時点が養育費の始期とされることもあります。この場合、内容証明郵便で請求をする、メールやLINEで請求をする、口頭で請求をするなど方法は様々ですが、最低限、請求をしたことが記録として残る方法を利用することが無難です。

5 養育費はいつまで支払うのか(養育費の終期)

養育費をいつまで支払うのかが問題となることがあります。これが、養育費の終期の問題です。

一般的に、養育費の終期は、「子が未成熟ではなくなったとき」とされます。

何をもって「未成熟でなくなった」とするかについては、成年の年齢(20歳)をひとつの目安とするとわかりやすいです。実際の事案でも、20歳を養育費の終期とする例は多くあります。

民法改正により、2022年4月1日から成年年齢が18歳に引き下げられますが、養育費の終期との関係では、民法改正によりただちに18歳を終期とするのではなく、これまでどおり20歳をひとつの区切りとすることが妥当です。
成年年齢改正と養育費との関係については、以下のページで詳しく解説しております。

>>18歳成年となることが養育費の終期に影響するか

以上は養育費の終期に関する一般論ですが、個々の事案に応じて終期が変動することは多々あります。

例えば、子が高校を卒業すると同時に働きはじめる場合には、その時点を養育費の終期とすることが適切です。逆に、子が高校卒業後に大学などに進学する場合は、いまだ未成熟な状態と扱い、大学などを卒業する時点を養育費の終期とすることも多くあります。

6 養育費はどのように取り決めるのか

・養育費の合意を書面化することの重要性

当事者間で養育費に関する合意ができた場合、その合意を書面化することが重要です。

口頭での合意も有効ではありますが、後に養育費の金額などに争いが生じた場合、合意の内容を立証することが難しくなります。

養育費は将来の長い期間にわたって支払われるものですから、後にトラブルが生じることを避けるため、書面によって合意をすることが必須といえます。

・どのように合意を書面化すればよいのか

当事者間で養育費の合意をする場合、書面化する方法としては、①当事者間で合意書(離婚協議書)を作成する、②公正証書を作成する、の2つがあります。

2つの方法のうち、万全を期すならば②公正証書の作成がお勧めです。

公正証書を作成する方法の最大のメリットは、養育費の支払いが滞った場合にただちに強制執行に着手することができる点です。

①当事者間での合意書作成の方法をとった場合、養育費の支払いが滞った際には、裁判を起こして未払養育費を請求し、判決を得てから強制執行に着手しなければなりません。これはかなりの手間となります。

これに対し、②公正証書の作成をした場合は、「強制執行認諾文言」(支払いが滞った際にはただちに強制執行をされることを受け入れる約束)を設けることができ、支払いが滞った際には裁判を経ることなく強制執行に着手することができます。

・養育費分担調停によって解決する場合

当事者間での話し合いではなく、裁判所の調停によって養育費を合意することもあります。

調停によって合意が成立した場合には、家庭裁判所が「調停調書」(合意の内容を記載した文書)を作成します。

調停調書が作成された場合、養育費の支払いが滞れば強制執行に着手することができるため安心です。

7 取り決めた養育費が支払われない場合はどうすればよいのか

・養育費の不払い問題

残念ながら、離婚をした後に養育費が支払われない事例は数多くあり、当事務所でも養育費不払い問題のご相談をよく受けます。

離婚母子世帯における父親からの養育費の状況(厚生労働省)によれば、現在も養育費の支払いを受けている母子世帯の割合は19%にとどまり、養育費不払い問題が解消されるには程遠い状況であることが推測されます。

・養育費不払い問題への対処方法

養育費の不払いが生じたときは、相手方に対して強制執行を行うことを考えなければなりません。

強制執行とは、裁判所に申立てをした上で、相手方の財産(給与、預貯金、不動産、動産など)を強制的に差し押さえる手続です。

強制執行によって養育費の支払いを確保する場合、最も有効なのは「給与の差し押さえ」です。

養育費に関する強制執行の場合、民事執行法151条の2により、支払期限が到来していない養育費(将来の養育費)についても差し押さえをすることができます。この定めにより、相手方の給与を差し押さえた場合、将来にわたり相手方の給与から養育費を強制的に確保することができることになります。

また、給与の差し押さえをする場合、通常の債権であれば給与の手取額の4分の1を超える金額を差し押さえることはできませんが、養育費であれば給与の手取額の2分の1までを差し押さえることができます(民事執行法152条3項)。

以上のとおり、養育費の不払いに関しては、法律上の強力な措置が設けられています。

養育費はお子さんの生活にとって極めて重要なものであり、相手方が支払ってくれないからといって安易にあきらめてしまうべきではありません。

当事務所では、養育費の不払い問題のご相談もお受けしております。養育費の不払いにお悩みの方は、お気軽にご相談ください。ご事情をうかがった上で、できる限りのアドバイスをさせていただきます。

8 大学などの学費はどのように負担すべきか

お子さんが大学などに進学する場合、月々の養育費だけではカバーできない費用が発生することもあります。

この場合、学費などを父母間でどのように負担し合うかを取り決める必要があります。

学費などの負担方法については、別記事にて解説しておりますので、こちらをご覧ください。

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9 一度取り決めた養育費の額を変更することができるか

養育費は、お子様が自立するまでの間、長期間にわたって支払うものです。
養育費を取り決めた時点では予測し得ない将来の事情変更が生じた場合、養育費の額を変更(増額・減額)すべきことがあります。
この点については、以下の記事にて詳しく解説しておりますので、よろしければご覧ください。

再婚をした場合に養育費を減額することはできる?

養育費意見書の作成サービスについて

当事務所では、養育費のトラブルを抱えている方向けに、適切な養育費を主張するための意見書作成サービスをお受けしております。
ご依頼にあたりかかる費用は手数料5万5000円(税込)のみであり、弁護士に代理人を依頼する場合よりも大幅に低額です。
詳しくは以下のページをご覧ください。

>>養育費意見書の作成サービスについて

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記事投稿者プロフィール

下大澤 優 弁護士 仙台弁護士会所属 登録番号49627

専門分野:離婚事件、男女関係事件

経歴:静岡県出身。中央大学法学部法律学科、東北大学法科大学院を経て、平成26年1月に弁護士登録。仙台市内の法律事務所での勤務を経て、平成28年1月、仙台市内に定禅寺通り法律事務所を開設し、現在に至ります。主に離婚事件・男女問題トラブルの解決に取り組んでおります。

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