別居を考えている方へ
最終更新日:2022年5月21日
1 離婚に先立つ別居のメリット
本格的に離婚の話し合いをする前に別居をすることはよくあります。
離婚の問題は、夫婦間の感情的な対立が激しかったり、解決までに時間がかかることが多いため、一度相手方と別居をすることによって、冷静な状態で話し合いを行うことができます。
これが別居のメリットといえるでしょう。
2 別居中の生活費
夫婦が別居をする場合、それまで一つの財布で管理していた家計が分離します。
夫婦の一方が無職である場合はもちろんのこと、夫婦の間で収入の格差がある場合は、別居によって収入の低い側の生活が立ち行かなくなることも起こり得ます。
たとえ別居中とはいえ、夫婦の間には扶助義務(民法752条)があるため、収入の低い側は、収入の高い側に対し、別居中の生活費(婚姻費用)を求めることができます。
別居後に安心して離婚の話し合いをするためにも、きちんと婚姻費用の取り決めをすることが大事です。
婚姻費用について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
3 一方的に別居をすることは違法なのか
別居を考えている方から、「相手方の同意を取らずに別居をすると違法なのでしょうか?」というご質問を受けることがあります。
民法752条には、「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と定められているため、一見すると別居は同居義務違反になりそうです。
しかし、夫婦として同居をするかどうかは、個人の意思により決めるべきことであり、法律が同居を強制することは適切ではありません。
夫婦の対立が激しく、もはや同居生活を維持できない場合は数多くあります。このような場合に同居を強いることは無意味です。
相手方の同意を得ずに別居をしたとしても、このこと自体が違法だとされることは基本的にありません。
夫婦の同居義務については、以下の記事で詳しく解説しておりますのでご覧ください。
4 別居後の児童手当は夫婦のどちらが受け取るべきか
妻が子どもを連れて夫と別居した場合、それまで夫名義の銀行口座に振り込まれていた児童手当の振込先を妻名義の銀行口座へと変更する必要があります。
この場合の具体的な手続きについては、別ページにて詳しく解説しております。以下のリンクから記事をご覧ください。
また、別居後の児童手当受給者変更が遅れ、子どもと同居していない親が児童手当を受給し続けてしまう場合があります。
この場合に別居後の児童手当の返還を請求することができるかという問題についても解説記事を設けております。
5 別居時点で弁護士に相談をすることが必要か
別居を始める時点で弁護士に相談をするべきか、ある程度時間が経った後に弁護士に相談をするべきか、迷うことがあります。
この点については、基本的には早期に弁護士に相談をすることをお勧めいたします。
別居をする以上、将来的に離婚をする可能性があるのでしょうから、離婚をする場合のポイントについて弁護士のアドバイスを受けることは有益です。
離婚をする場合のポイントについては、こちらのページをご覧ください。
また、別居中の当面の生活費(婚姻費用)に関しては、別居後すぐに検討しなければならず、弁護士に相談する必要性は高いといえるでしょう。
6 離婚をするために必要な別居期間
離婚をするためにどのくらいの別居期間が必要なのかを疑問に思う方は多くいらっしゃると思います。
この点については、別ページにて解説しておりますので、以下のリンクをご覧ください。
また、単身赴任などの場合、「いつの時点をもって別居開始といえるか」が問題となることもあります。
この点についても別ページにて解説しておりますので、以下のリンクをご覧ください。
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記事投稿者プロフィール
下大澤 優 弁護士 仙台弁護士会所属 登録番号49627
専門分野:離婚事件、男女関係事件
経歴:静岡県出身。中央大学法学部法律学科、東北大学法科大学院を経て、平成26年1月に弁護士登録。仙台市内の法律事務所での勤務を経て、平成28年1月、仙台市内に定禅寺通り法律事務所を開設し、現在に至ります。主に離婚事件・男女問題トラブルの解決に取り組んでおります。