離婚訴訟(裁判)について知りたい
最終更新日:2022年1月26日
1 離婚訴訟(裁判)とは何か
「離婚訴訟(裁判)」という言葉を耳にする機会は多いと思いますが、離婚訴訟について具体的なイメージをお持ちの方は多くありません。「離婚訴訟と離婚調停の違いがわからない」といったご質問も度々目にします。
「離婚訴訟とは何か」というご質問に一言で答えるとすれば、「民法に定められた離婚事由があるかどうかを裁判所に判断してもらう手続である」という回答になります。
これだけでは漠然としていますから、もう少し具体的に説明いたします。
2 離婚訴訟では何を審理するのか
既に記載したとおり、離婚訴訟では、民法に定められた離婚事由があるかどうかを審理します。
民法に定められた離婚事由があると認定されれば、基本的には離婚が認められることになります。
民法が定める離婚事由は次のとおりです。
民法第770条1項
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1号 配偶者に不貞な行為があったとき。
2号 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3号 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
4号 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5号 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
民法が定める離婚事由のうち、わかりやすいのは「不貞な行為(1号)」です。これは、世間で言うところの「不倫」を意味します。
「不貞な行為」を理由に離婚を求める場合、裁判所は「不貞な行為」があったかどうかを審理し、「不貞な行為」があったと認定されれば、民法770条1項1号に基づき離婚が認められる、ということです。
3 離婚訴訟と離婚調停の違いは何か
離婚訴訟と離婚調停の最も大きな違いは、「夫婦の話し合いをベースとする手続であるかどうか」にあります。
離婚調停は、あくまでも夫婦の話し合いをベースにする手続です。したがって、夫婦の一方が納得しなければ離婚を成立させることはできません。(離婚調停について詳しく知りたい方は、こちらのページをご覧ください>>離婚調停の申し立てを考えている方へ)
これに対し離婚訴訟は、夫婦の話し合いをベースにしません。離婚事由があるかどうかを裁判所が認定し、最終的には裁判所が離婚を認めるかどうかを判断します。夫婦の一方が離婚を拒否しても、裁判所が離婚を認めれば、強制的に離婚を成立させることができるということです。
4 離婚訴訟のメリットは何か
離婚訴訟のメリットは、離婚事由さえ認められれば、相手方が拒否しようとも離婚を成立させることができる点にあります。
例えば、夫婦の一方が不貞をしたのに頑なに離婚を拒否する場合には、離婚訴訟を提起するメリットがあります。
5 離婚訴訟のデメリットは何か
離婚訴訟のデメリットは、主張・立証のハードルの高さにあります。
離婚事由があることを裁判所に認定してもらう必要がある以上、離婚を求める側は、①適切な離婚事由を主張し、②離婚事由を裏付ける適切な証拠を提出しなければならない、というハードルが課されます。
訴訟における主張・立証には複雑なルールが多くあり、専門家である弁護士でなければ適切な主張・立証を行うことは簡単ではありません。
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記事投稿者プロフィール
下大澤 優 弁護士 仙台弁護士会所属 登録番号49627
専門分野:離婚事件、男女関係事件
経歴:静岡県出身。中央大学法学部法律学科、東北大学法科大学院を経て、平成26年1月に弁護士登録。仙台市内の法律事務所での勤務を経て、平成28年1月、仙台市内に定禅寺通り法律事務所を開設し、現在に至ります。主に離婚事件・男女問題トラブルの解決に取り組んでおります。